一棟アパート15室を運営して学んだ空室との向き合い方
一棟アパートを運営すると、1室の空室でも「家賃を下げるべきか」「修繕を先にするか」「募集方法を変えるか」という判断が続きます。15室あると、満室想定の数字だけではなく、空室が重なった時の手残りと対応順を決めておく必要があります。
私は2003年に自宅マンションを賃貸へ転用し、入居まで約1年かかった経験があります。その後、一棟15室の運営、民泊、築古戸建て再生を経験しました。空室が続く時ほど、焦って家賃だけを動かすのではなく、募集から申込までのどこで止まっているかを分けて見ることが大切だと感じています。
一棟15室では、満室時の家賃より空室時の耐久力を見る
購入前の資料では満室時の年間家賃が目立ちます。しかし運営では、空室、原状回復、設備交換、募集費用、税金、返済が同じ時期に重なることがあります。見るべきなのは、満室ならいくら入るかだけではなく、数室空いた状態でも運営を続けられるかです。
- 満室時と通常時の家賃収入
- 1室・2室・3室が空いた時の手残り
- 年間の修繕予算
- 返済、管理費、税金などの固定費
- 空室が続いた時に使える手元資金
空室が出た時に確認する5つの数字
1. 募集開始後の問い合わせ数
問い合わせがほとんどなければ、家賃だけでなく、掲載状況、写真、間取り、設備、初期費用、募集コメントを確認します。そもそも見られていない状態で家賃だけを下げても、原因が残ることがあります。
2. 問い合わせから内見への移行率
問い合わせはあるのに内見へ進まない場合は、返信速度、案内可能日、入居可能日、初期費用や条件の説明を確認します。管理会社や仲介会社に、内見にならなかった理由を聞くことも重要です。
3. 内見から申込への移行率
内見されても申込がない場合は、室内の清掃、におい、明るさ、設備、共用部、周辺環境など、現地で初めて分かる弱点を見ます。募集写真と現地の印象が離れていないかも確認します。
4. 競合物件との総支払額と条件差
比較するのは表示家賃だけではありません。管理費、敷金・礼金、保証料、更新料、インターネット、設備を含めた入居者の負担を比べます。競合より弱い点が価格だけなのか、設備や初期費用なのかで対策は変わります。
5. 値下げ額と空室継続損失
家賃を月5,000円下げる場合、年間では6万円、2年間では12万円の減収です。一方、家賃8万円の部屋がさらに1か月空けば、家賃収入だけで8万円を失います。恒久的な値下げ、フリーレント、設備追加、募集費用を同じ期間で比較して決めます。
管理会社・仲介会社へ確認すること
- どのサイトに、いつから掲載されているか
- 直近30日間の問い合わせ数と内見数
- 内見後に選ばれなかった主な理由
- 同じエリア・間取りで決まった競合物件の条件
- 写真、設備、初期費用、家賃のうち最初に変えるべき項目
「反響がありません」だけで終わらせず、募集から申込までを数字で確認すると、次に試す施策が具体的になります。
一棟物件は、1室ごとの改善を建物全体の判断へ戻す
一棟15室では、1室を埋めることだけを考えると、家賃や条件が部屋ごとにばらつくことがあります。空室対策をした後は、建物全体の平均家賃、入居率、修繕予定、返済後の手残りへ戻して確認します。
短期間で埋める施策と、長く利益を残す条件は必ずしも同じではありません。何を変えたか、反響がどう変わったかを記録し、次の空室で再利用できる判断基準にします。
家賃を下げる前のチェックリスト
- 募集開始日、問い合わせ数、内見数、申込数を確認した
- 競合との総支払額と設備差を比較した
- 内見後に断られた理由を管理会社へ確認した
- 値下げによる年間減収と、空室1か月の損失を比較した
- 値下げ以外の一時的な施策も比較した
物件取得や活用全体の数字を整理したい方は、Norik Journalの不動産投資の相談前に揃える5つの数字も参考にしてください。
空室や修繕について考えたい方へ
物件名や正確な住所は不要です。物件種別・地域、現在の空室数、募集開始日、問い合わせ数、いちばん困っていることを添えてご連絡ください。値下げ、募集改善、設備、管理会社との連携のどこから確認するかを整理します。