日本政策金融公庫への相談で学んだ事業計画の作り方
結論から言うと、不動産投資の融資相談で示すべきなのは「高く儲かる数字」ではなく、「悪い月でも返済を続けられる構造」です。表面利回りだけではなく、自己資金、取得総額、通常時収入、空室、修繕、返済余力、出口を一つの事業として説明します。
公庫へ相談して分かった「物件取得」と「事業経営」の違い
私は会社員時代、競売で購入した物件を担保に、日本政策金融公庫へ相談して資金を調達しました。必要書類や事業計画書の作成、妻と一緒に臨んだ面談など、初めての時は分からないことばかりでした。
その後、競売物件の取得と借入を繰り返しましたが、借入総額が増えたところで追加融資が難しくなりました。振り返ると、当時は「安く買える物件を増やす」ことへ意識が寄り、入居、修繕、資金繰りを継続して管理する事業としての説明が弱かったのだと思います。
この経験から、融資相談では物件の魅力だけでなく、購入後に誰が運営し、空室や修繕が起きてもどう返済するかを説明する必要があると学びました。
金融機関へ示したい7つの数字
1. 自己資金と購入後に残す現金
自己資金をいくら入れるかに加え、購入後の空室、修繕、税金に備えて現金をいくら残すかを示します。購入できることと、購入後に運営できることは別です。
2. 物件価格ではなく取得総額
物件価格に仲介手数料、登記、税金、融資費用、初期修繕、設備費を加えます。取得総額を小さく見積もると、その後の利回りと返済計画がすべて甘くなります。
3. 満室時ではなく通常時の収入
満室想定は上限として扱い、実際に見込める入居率、家賃、募集期間で通常時収入を作ります。周辺相場や現在の入居状況を根拠にします。
4. 空室・家賃下落時の収支
1室、2室と空室が増えた場合や、家賃を下げた場合の手残りを出します。赤字になる場合は、手元資金で何か月耐えられるかも確認します。
5. 修繕予算と発生時期
購入直後の改修だけでなく、屋上、防水、外壁、給排水、設備交換などの発生時期を置きます。金額が分からない項目は、見積もりを取る予定として残します。
6. 年間返済額と返済余力
年間の営業収支から返済額を引き、どれだけ余力が残るかを見ます。売上が少し下がっただけで返済できないなら、購入価格、借入額、期間を見直します。
7. 保有・売却・撤退の出口
いつまで保有するか、残債はいくらか、売却費用を引いた後に何が残るかを置きます。出口を考えることで、始める判断だけでなく、続ける判断とやめる判断もできます。
事業計画書は6つの順番で説明する
- 目的:なぜこの物件を取得し、誰へ貸すのか
- 取得:自己資金、借入、取得総額
- 運営:通常時収入、固定費、管理体制
- 耐久:空室、修繕、手元資金でどこまで耐えられるか
- 返済:年間返済額と返済余力
- 出口:保有継続、売却、撤退の条件
数字が未確定なら、空欄を隠す必要はありません。「管理会社へ確認中」「修繕見積もりを取得予定」と書きます。分からない点を把握し、確認手順を持っていることも事業管理の一部です。
融資面談前のチェックリスト
- 満室想定と通常時想定を分けたか
- 購入後に残す現金を決めたか
- 空室と修繕が同時に来ても返済できるか
- 募集、管理、修繕を誰が担当するか説明できるか
- うまくいかなかった時の見直し条件を決めたか
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融資相談へ行く前に、数字の抜けを整理したい方へ
融資の可否を保証したり、金融機関の判断を代行したりする相談ではありません。自己資金、取得総額、通常時収入、空室時収支、修繕予算、返済額、出口を分かる範囲で書いてください。専門家や金融機関へ確認すべき点を整理します。